PCR検査数が増えない1つの原因

 PCR検査数が増えない1つの原因は都道府県ごとにしか検査をしていないことが挙げられます。山形県のPCR検査数は山形県のHPでほぼ毎日発表されています。山形県の衛生研究所・保健所のPCR検査の1日あたりの実施可能件数は東北で最も多い80件(4月27日現在*)でありながら、少ない日は1日20件程度(退院検査⁑を含めて)しか実施していないのです。東京などではまったく足りていない状況で、他の県では検査能力が余っているところがあるのです。都道府県の間でPCR検査を融通しあえば、PCR検査数はもう少し増やせるはずです。

 ただ、都道府県の間でPCR検査を融通するのは簡単なことではありません。まず、都道府県の衛生研究所・保健所は都道府県や政令指定都市・中核市などが予算を組んで運営しているので、他の都道府県の分のPCR検査を衛生研究所・保健所で独自に受けるわけにはいきません。また、厚生労働省も都道府県や政令指定都市・中核市などが運営する衛生研究所・保健所には指示や要請もできないはずです。

 しかし、和歌山県で起きた有田病院のクラスターでは、和歌山県知事が大阪府知事に協力要請を出すことで、和歌山県の検体を大阪府で検査した前例がありますので、各都道府県知事が、他の都道府県知事に要請すれば実現する可能性があります。今後、感染者数がほとんど出ない県が多くなってくれば、検査能力の余力がもっと増えるはずです。そうすれば、東京などひっ迫している大都市部での検査をまわせるはずです。

 検体の輸送や協力した県のPCR検査で使う消耗品の補充などの多くの課題はありますが、都道府県と国が協力すれば、今できるPCR検査数を増やせる手段だと思います。

 

*厚生労働省のHPにある「国内の発生状況」内のPCR検査に関する参考資料から

⁑山形県の退院検査数は米沢市のHPの新型コロナウイルス感染症に関する更新情報に毎日記載されています。尚、山形県のHPにはありません。

 

(文責:山口)