平成28年度山形県公立高校入試問題難易度

◎平成28年度の山形県公立高校の入試問題についての雑感

 今年の入試問題は国語と数学が易しく、社会と英語が少し難しくなっていると思います。5教科全体では昨年より若干点数が上がると思います。

 

◎国語

 通常の模擬試験の点数並みにはとれる問題です。国語は入試の最初の科目で、最も緊張している状態で解いているので、難しく感じるかもしれませんが、普段から記述の問題ができている人は何を書いたらよいかわからないような問題はなかったと思います。普段から記述の問題ができていない人はいつも通りかもしれません。大問3の古文は近年で最も易しい問題だと思います。作文も書きやすい方のテーマで、グラフのタイトルと割合など書いただけで、相当文字数がかかるので、作文の苦手な方でも字数は稼げたと思います。

 

◎数学

 今年の数学は易しい方の問題です。通常の模擬試験で60点以上をとっている方であれば、模擬試験の点数のマイナス10点程度の点数、50点未満の方は模擬試験の点数並みにはとれる問題だったと思います。

 

 大問1の作図の問題が今年の数学で最も難しい問題です。それ以外は基本的な問題です。作図は条件①で、「APとABが等しい」ので、点Aにコンパスの針をさし、コンパスの幅をABの長さにして円をかきます。ここまではできた人はいたと思いますが、条件②の∠APC=90°をどうしたらよいかわからなかったと思います。普通は90°の角をかくのは垂線を引けばよいのですが、この場合は垂線を引くための線がありませんので引けません。そのため、90°になるものを別途考える必要があります。それが円の直径の円周角は90°になるという性質です。ACを直径とする円をかけばよいのです。それで、ACの垂直二等分線を引き、ACの中点にコンパスの針をさし、コンパスの幅を点Aと中点の間の長さにして円をかきます。条件①でかいた円と交点が2つできますが、そのうちBCより上にある点が求める点Pになります。思いつかなければ解けない問題ですので、ほとんどの方はできなかったと思います。

 

 大問2は関数の(1)だけはできなければならない基本問題です。関数の(2)は関数の面積の問題としては難しくない方の問題です。関数の面積の問題を練習していた人は解けたのではないかと思います。空間図形の投影図の問題は、立体を頭の中で思い浮かべることができた方は比較的簡単にできたと思いますが、どんな図形か思い浮かべられない方はできない問題です。(2)の体積の問題は長さが何もわからないので、三角錐がもとの直方体の体積の何分の1になるかと考えることができれば解けた問題です。ちなみに、三角錐の底面積が直方体の底面積の2分の1で、高さが同じで錐は柱の3分の1の体積になるから、2分の1と3分の1をかけて6分の1になります。尚、どう解くかわからなかった方が多いと思います。文章題は平均の出し方を知っている方で、5回の人をx人、6回の人をy人として連立方程式を作れば、どうにかできた問題だと思います。平均×人数=合計になることを知っているとより簡単に求めることができます。文章題としては易しい方の問題だと思います。

 

 今年は大問3のグラフがかけたか、かけなかったで点数が大きく変わったと思います。1の(1)の何分で戻るかという説明問題ですが、グラフから400mを読み取り、毎分100mで4分かかるとかければよいだけです。4分で学校に戻るとわかれば、あとはグラフがかけるので、そのあとのア~エの問題はほとんどできるはずです。尚、ウとエの式の求め方は練習していないとできないかもしれません。2のオはグラフでわかる時間が16分しかないので、16とかければ当たりとなる何のひねりもない問題で、誰でもできた問題です。最後のカとキは今年2番目に難しい問題なので、できなくても問題ありません。ちなみに、大樹さんはグラフから1800mを24分で移動するので分速75mで歩いています、拓海さんと大樹さんの距離は16分で200m離れるので、大樹さんの方が200m÷16分=毎分12.5m速く歩いていることになります。そのため、拓海さんの歩く速さは毎分62.5mとなります。この速さで800mを進むのにかかる時間は12.8分となり、0.8分は60×0.8=48秒となり、12分48秒が答えとなります。

 大問3はグラフがかければ、23点中18点程度とれる問題ですので、この問題ができたかどうかで、数学の点数が良かったか悪かったかが決まるでしょう。

 

 大問4は1の長さの問題は△DFCの直角三角形から三平方の定理で求めればよい問題で、できた人は多いと思います。2の証明問題は証明する三角形がわかれば、直角三角形の合同条件を使う比較的簡単な証明問題です。解く時間があり、三角形の合同の証明ができる人あれば、完答できた人も多いと思います。3の(1)の長さの問題は今年3番目に難しい問題です。(1)ができないと(2)もできないので、3の問題はできなくてもしょうがないと思います。ちなみにEFの長さは、BEからBFを引けばよいので、BEとBFの長さをそれぞれ求めます。BFの長さは2cmで、図2の状態でもBE=AGは成り立つので、AGの長さを△AGD∽△BGFから相似比2:1を求め、AG:AB=2:3よりAG=8/3cmを求めます。あとは2cmを引けば、答えの2/3cmが出ます。この問題のような相似な三角形を見つけて、相似比を求めて長さを出す問題は練習していないとなかなか解けない問題です。

 

 計算や確率など基本的な問題ができる人であれば40点以上はとれる問題です。関数の利用ができれば60点、証明ができれば70点、文章題ができれば80点まではとれる思います。90点以上とるには難しい問題で、非常にバランスのとれた良問だった思います。

 

◎社会

 今年の社会は地理の問題が難しいです。

 

 大問1の問2は世界地図を頭に浮かべて本初子午線と赤道の位置がわかっていないとB国(ナイジェリア)はわからなかったと思います(正解はウ)。問3の資料問題は選択肢エは人口密度が小さく(広い国土に人口が少ない)、車の保有台数が多い(先進国)ので、A国(カナダ)だとわかります。選択肢ウは逆に車の保有台数が少ない(発展途上国)ので、B国だとわかります。問題のD国(ブラジル)ですが、C国(中国)との違いが明確にわかる項目がないので、アとイで迷った人が多いと思います(正解はイ)。問4は本初子午線が北極から南極までの長さでその長さの半分が赤道になるとわかれば、20等分したうちの北から5つ目なので、北緯45度と導けます。

 大問2の問2はB県とC県の製造品出荷額の項目で、B県が鹿児島県、C県が長野県とわかりますが、A県とD県の違いが農業産出額しかないので、宮城県と千葉県のどちらがD県かと選択するのは難しいと思います。ちなみに、D県は第一次産業の割合が小さいにも関わらず、農業産出額が多いので人口そのものが多いのではないかと推測できれば千葉県と選ぶことができます。問6は公民にあった市町村合併を覚えていればできたと思います。

 大問3の問2の院政について説明する問題は書けた人はほとんどいないと思います。問3の(1)も消去法で選ぶしかない問題です(正解はエの日光東照宮)。

 大問4の問3は選択肢イを選んだ人が多いのではないかと思いますが、イの遼東半島は三国干渉で返還したのでワシントン会議ではありません。この内容は東南置賜地方で採用されている東京書籍の歴史の教科書には記述がありませんので、他の地区で採用されている帝国書院か教育出版の歴史の教科書に記述があるのかもしれませんが、正解のウの山東半島を選ぶには消去法で考えるしかないと思います。

 大問5の問1の(1)で厚生労働省とウを選んで完答するのは少し難しかもしれません。

 大問6の問1の(2)の直接金融の方法はできた人はあまりいないと思います。

 

 ここに挙げた問題以外は例年並みの問題ですので、例年より少し難しくになっていると思います。

 

◎理科

 今年の理科は例年並みの問題です。生物・地学系が難しめで、化学・物理系が易しめです。理科の得意な方は結構とれたのではないかと思います。

 

◎英語

 今年の英語は大問4の長文が難しくなっています。例年より若干点数は下がるのではないかと思います。

 

 大問2の3の(2)は最も難しい問題で、当てた人はほとんどいないのではないかと思います。

 大問3は例年より易しい方の問題だと思います。

 大問4は例年に比べ難しい単語が多く見受けられますので、訳せない部分があったのではないかと思います。例えば、guess:推測する、enter:入る、however:しかしながら、audience:聴衆、experience:経験、suddenly:突然、などは教科書には書いてありますが、なじみが薄い方の単語です。ちなみに、頻繁に出てくる「her home」は「彼女の家」と訳さずに「彼女の故郷」と訳さないと文の意味がおかしくなります。また、文の内容を日本語で答える問題が1問増えていますので、本文をある程度正確に訳せていないと高得点をとるのは難しいです。7のIIの英作文の問題は難しいです。

 大問5の自由英作文の問題は昨年同様、英文を読んで答える問題ですので、設問の英文の意味がある程度わからないと完答は難しいです。ちなみに昨年より設問の英文は易しいので、できた人は昨年より多いと思います。

 

 英語は単語の意味を覚えて、英文読解演習を繰り返さないと点数をとるのは無理です。