R2年度米沢興譲館探究科について
◎H31年度の入試結果から
H30年度から米沢興譲館の普通科・理数科(総定員200名)が探究科(定員80名)・普通科(定員120名)に変更になりました。H31年度の入試では、探究科受検者が137名、普通科受験者が101名で、探究科の倍率が1.71倍、普通科の倍率が0.84倍となり、探究科の合格者が82名、普通科の合格者が124名となりました。H31年度の入試は米沢興譲館に人気が集中し、定員を38名超えて、32名の不合格者が出る近年稀に見る激戦となりました。
H31年度の入試では、米沢興譲館の探究科だけ傾斜配点(下記参照)が導入され、数学と英語の入試の得点を1.5倍にした値で合否判定されることになりました。そのため、数学と英語に不安のある方などが敬遠して普通科専願者が大幅に増え、逆に探究科の受検者はH30年度に比べ若干減少しています。それでも探究科の受検者が多いのは併願の仕組み(下記参照)のためだと考えられます。とりあえず、合格すればよいという志望者の方もまだ多いように思われますが、H31年度の入試からは、本当に探究科へ入りたいという意欲の高い志望者が増ているようです。
◎併願の仕組み
第一志望を探究科とすると、第二志望で普通科を選択することができますが、第一志望を普通科にすると第二志望に探究科が志望できません。このことから、次のようなことが起こりえます。
(ケース1)探究科が定員割れ、普通科も定員割れの場合
探究科と普通科の志望者は基本的に全員合格。
(ケース2)探究科が定員超過、普通科が定員割れで、全体で定員割れの場合
探究科の志望者のうち、入試成績の悪い方が普通科へ、普通科の志望者は基本的に全員合格。
尚、入試成績の悪い方で、第二志望に普通科を選択していない方(普通科に絶対行かないという方)は不合格。
(ケース3)探究科が定員超過、普通科が定員割れで、全体で定員超過の場合
探究科の志望者のうち、入試成績の悪い方が普通科へ、探究科と普通科の志望者の中で入試成績が悪い方が不合格。純粋に入試成績が悪い方が不合格。
(ケース4)探究科が定員超過、普通科も定員超過の場合
探究科の志望者のうち、入試成績の悪い方が普通科へ、探究科と普通科の志望者の中で入試成績が悪い方が不合格。純粋に入試成績が悪い方が不合格。(ケース3)と同じ。
(ケース5)探究科が定員割れ、普通科が定員超過の場合
探究科は基本的に全員合格。普通科の志望者の方で入試成績が悪い方が不合格
(ケース1)~(ケース4)の場合は、今まで通り、全員合格か、純粋に入試成績の悪い方が不合格になりますが、(ケース5)の場合だけ、探究科の志望者は不合格者の入試成績より低くても合格できる可能性があります。したがって、探究科と普通科のどちらにしたらよいか迷ったら、探究科を第一志望にしましょう。どうしても探究科が嫌な方以外、普通科を第一志望にするメリットがありません。
◎米沢興譲館探究科の長所と短所
高校1年生のときは、探究科と普通科のカリキュラムに差はほとんど無いようです。2年生になると、探究科は理数探究科と国際探究科に分かれ、理数探究科は理科・数学系、国際探究科は社会・英語系の研究テーマを先生と話し合いで決め、課題研究を授業で週2回行うことになります。普通科でも、課題研究の授業が週1回あります。課題研究は夏休みの自由研究とは違います。夏休みの自由研究は夏休みの自由な時間を使って研究しますが、課題研究は授業時間を使って研究することができるのです。また、どのように研究を進めればよいかアドバイスをしてくれる先生がいるのですから、夏休みの自由研究とは違って、どうしたらよいか途方に暮れることはないはずです。この課題研究は大学の推薦入試を受ける場合は有利になります。大学の推薦入試では、「高校で何をしたか」、「大学で何をしたいか」は必ず出願理由を願書に書いたり、1時間程度かけて行われる面接で聞かれますので、その際に課題研究の内容を使えば問題なく対応できます。今後、共通テストが導入されるのに伴い国公立の大学でも推薦入試の定員が増やされる予定ですので、大学の推薦入試で受験したい方は探究科はおすすめです。逆に推薦入試を受けずに通常の共通テストと各大学の2次試験を受ける場合で、課題研究テーマが受験科目に関係しない場合は時間的に不利になる可能性があります。
◎米沢興譲館普通科を第一志望にした方が良い方
探究科は英語ができない方は大変です。国際探究科はもちろん必要ですが、3年生になると、理数探究科でも英語による論文・ポスターの作成があります。また、2年生の時に探究科は海外研修があります(尚、普通科は関西研修)。そのため、英語が苦手な方は普通科を第一志望にした方がよいと思います。高校に入ってから英語を勉強しても手遅れです。中学校の内容はできて当然で授業が進みます。探究科を目指している方で、英語の苦手な方はできるだけ早く対応してください。
◎興譲館探究科の傾斜配点について
H31年度入試より、興譲館探究科のみに数学と英語の傾斜配点が導入され、数学と英語の入試の得点を1.5倍にしてから合否判定されます。
仮に5教科平均70点をボーダーラインと仮定して計算すると下記のようになります。
国 語 社 会 理 科 数 学 英 語 通常配点合計 傾斜配点合計
70点 70点 70点 70点 70点 350点 420点
60点 60点 60点 80点 80点 340点 420点
80点 80点 80点 60点 60点 360点 420点
数学と英語で点数がとれる方は断然有利です。逆に数学と英語の合計点が120点以下になると、他の教科で挽回するのはかなり厳しくなります。
入試で数学と英語の合計点が140点以上とることが目標となります。模擬試験では数学と英語の合計点が160点以上が目安です。特に入試の数学は模擬試験ほど点数がとれません。英語も数学ほどではありませんが、模擬試験より低い点数になります。そのため、模擬試験では高めの目標点となります。
尚、H31年度の入試では興譲館普通科では傾斜配点は導入されません。
◎探究科の合格できる最低ライン
基本的な目標点数は、米沢周辺の高校難易度をご覧ください。
合格する可能性がある点数は、下記の通りです。
興譲館探究科の場合 内申点が42点で模擬試験で360点
内申点が36点で模擬試験で380点
ただし、数学と英語の合計点が160点以上必要です。
これらの点数より低いの場合は探究科への合格はほぼ無理です。上記の点数では、入試で模擬試験の点数とほぼ同じ点数をとる必要があります。実際、入試で模擬試験とほぼ同じ点数をとれる方があまりおりませんので、上記の点数でも厳しいと思います。
尚、上記の点数の目安は啓明教育研究会の独自のものです。