模擬試験と偏差値について

◎模擬試験とは

 模擬試験とは、主に中学3年時に受ける実力テストのことです。(1・2年のとき、春・夏・冬休みの後に受ける課題テストで問題用紙がA4版におられているテストの3年生版)米沢の中学校では、3年生の時に5、6回受けることになります。B5やA4サイズを3つ切りにしたくらいの成績票に生徒の得点、学年平均点、偏差値、各項目の達成度などが印刷されています。この模擬試験は、山形県の県立高校入試を忠実に真似て作成されており、入試でどのくらい得点できそうか見るには最適の試験です。ただ、3年生の8月以降に受けた試験でなければ、3年生の内容がほとんど試験に入っていませんので、模擬試験としては不十分です。特に模擬試験で最も重要な試験は、3年生の11月中旬から12月上旬にかけて実施される試験です。この時期に受けた模擬試験の結果で12月下旬に行われる三者面談で進路がほぼ決定されます。尚、模擬試験の成績は内申点に影響のある五段階評定の成績には通常、反映されません。

 

◎偏差値で志望校を決めてはいけません!

 模擬試験の成績票に記載されている偏差値(中学校によっては定期テストの成績票に記載されている偏差値も含みます)は、生徒の以前受けた試験の成績と比較して、成績が向上しているかどうか判断するために出されている値です。よくネット上に出ている偏差値とはまったく別物です。ネット上に出ている偏差値には根拠がありません。志望校を決めるときの判断材料になる偏差値を求めるには、1000人以上の規模で模擬試験を行って成績処理をしなければ、意味のある偏差値にはなりません。20年以上昔、米沢で行われていた「米沢予備校テスト」のような市内の中学校の3年生がほぼ全員受けたテストの偏差値であれば意味がありますが、現在の偏差値は、各中学校の校内偏差値です。そのため、各中学校の平均点が異なりますので、同じ得点でも偏差値が大きく異なります。例えば、平均点が約30点違って、同じくらいの点数で偏差値が約5つ違ったことがありました。なぜ比較できるかといえば、米沢の中学校では2つの業者の模擬試験が採用されていますので、同じ時期に実施される問題が同じ場合があるからです。

 したがって、意味のある偏差値を持っている可能性があるのは模擬試験の成績処理を行った業者です。しかし、平成5年に当時文部省(現文科省)が出した業者テストの偏差値を用いた進路指導の禁止(いわゆる偏差値追放令)に抵触しますので、業者が偏差値を出すことはありません。つまり、意味のある偏差値がネット上に存在するわけがないのです。そのような偏差値で山形県の受験する高校を決めてはいけません。

 尚、大学受験の場合はネット上の偏差値でも意味のあるものがあります。全国で数十万人規模で行う模擬試験の偏差値であれば十分、判断材料になります。

 

◎志望校の難易度の目安には

 偏差値では意味がありませんので、何を目安にすればよいかといえば、5教科の合計点数である程度の判断ができます。8月以降に受ける模擬試験であれば5教科の平均点数が230点から270点くらいの間になります。そのような試験の点数であれば、合計点数である程度判断できます。米沢市周辺の高校の目安はこのくらいです。

 

◎模擬試験と定期テスト

 学校の定期テスト(中間テストや期末テストなど)は、学校で習った時期が近く、テスト範囲も狭いので、高得点を取りやすいのですが、模擬試験は中学1年から最近習ったところまでが範囲になりますので、日ごろから復習していなければそう簡単に点数をとることはできません。また、通常の定期テストのような問題形式とまったく異なる県立高校入試の問題を真似て作った問題ですので、さらに点数を取ることは難しいです。そのため、7月時点の模擬試験(実力テスト)の5教科合計点数が、定期テストの5教科合計点数より100点程度低くても別におかしくはありません。平均点数も定期テストに比べれば大幅に下がりますので、定期テストの偏差値を出している中学校の方あれば、模擬試験の校内偏差値はあまり変わらないはずです。もし、模擬試験の校内偏差値の方が低いのであれば、1・2年の復習を夏休み明けまでには徹底的にやっておく必要があります。

 尚、通常、定期テストの合計点数が300点以上取れている方で、今後受ける模擬試験の合計点数が、定期テストの合計点数より50点低い程度であれば、優秀だと思ってください。それだけ、模擬試験は難しいテストです。