平成30年度山形県公立高校入試問題難易度

◎平成30年度の山形県公立高校の入試問題についての雑感

 今年の入試問題は国語と数学が易しく、英語が難しくなりました。社会と理科は例年並みで、5教科全体では英語の不出来次第では平均点は下がると思います。

 

◎国語

 今年も大問1と大問2の問題は解きやすい問題が多く、できた人が多いのではないかと思います。大問3の古文も易しい問題だと思います。大問4の漢詩の形式が分からなかった人が多いのではないかと思います。作文は書きやすいテーマで、苦になく書けた人が多いのではないかと思います。

 

◎数学

 今年の数学は易しい問題と難しい問題がはっきり分かれていたので、解きやすかったと思います。また、出題された問題数が減っていますので、時間的にも余裕があったと思います。特に、大問4の相似の証明が易しかったので、証明を書いたかが大きな点数の分かれ目となります。平均点は若干上がると思います。

 

 大問1の資料は基本的な代表値を出すことができるかが問われました。平均値がそれぞれの冊数と人数の積の合計を33人で割って4冊、中央値が33÷2=16.5なので17番目の人がいる3冊、最頻値は最も人数が多い2冊だから、答えはウとなります。選択問題も表面積ですが、円柱と正四角柱なのでできた人が多いと思います。今年も作図は難しかったと思います。条件②を満たすには円周角が等しいことを思い出すことができれば、直径に対応する円周角は90°だから、∠ABC=90°なので、線分ACを直径とする円をかき、線分BDの交点がPとなるのですが、完答できた人はあまりいないと思います。

 

 大問2は関数は(1)は基本の二次関数の変化の割合を求めるだけでしたので、ほとんどの方ができたと思いますが、関数の(2)は反比例の比例定数の値が、四角形OCBDの面積になることを知っていないとできなかったと思います。文章題はやったことがある人が結構いたと思います。ただし、文章題ではなく、一次関数の利用の問題としてです。中2の数学の教科書の関数の利用によく出ている問題で、基本料金を切片b、1m^3あたりの使用料金を傾きaにして、2点を通る直線の式を求める方法で、やった問題ですが、それぞれをxとyにして、連立方程式をつくれば解けたと思います。ただ、何をしてよいか覚えていなかった人が多いと思います。確率の問題は問題をしっかりと読んでいれば基本的で易しい問題だと思います。

 

 毎年ですが大問3のグラフがかけたか、かけなかったで点数が大きく変わったと思います。グラフですが、2点が同時に動き、原点を通る場合は最初の範囲は2次関数になることが多く、今回も0≦x≦4の範囲は2次関数になります。1の(1)を図から底辺と高さを求めて、三角形の面積を求める方法でx=1のときy=2、x=2のときy=8、x=3のときy=18と計算していけば、グラフがかけます。x=4のときy=32、以降は直線で、点Pが点Bにつく9秒後にx=9のときy=72となり、あとはx=10までy=72のまま横に引けばグラフが完成します。グラフさえできれば、大問3の左側の問題は完答できたと思います。右側の2の問題が今年最も難しい問題です。この問題は関数の問題ではなく、平行四辺形の対角線の性質から方程式をつくって解けばできます。四角形RAPCが平行四辺形になれば、PRとACはそれぞれの中点で交わるということに気が付けば、DR=BPになるのは点Rが動き始めでから何秒後かを求めて、点Pが動いてから何秒後かに直せばよいです。点Rが動いてからx秒後のDRの長さは3x、BPの長さは点PがRが動く前に4秒間移動しているので、18-2(x+4)になります。3x=18-2(x+4)を解いて、x=2なので、点Pが動いてからだと、4+2=6となり、6秒後が答えとなります。

 大問3はグラフがかければ、24点中20点近くとれます。

 

 大問4の1の証明問題は、昨年に続き易しい方の問題でした。この証明問題をまったく書かなかった人はもったいなかったと思います。2の(1)の問題のも、難しい方の問題ですが、まったく歯が立たないような問題ではありませんので、できた方がそこそこいたと思います。(1)ができれば、(2)の問題はできますので、大問4を完答した方が例年(1%程度)に比べれば、結構いる(5%程度)と思います。

 2の(1)は、まず1で証明した△ABC∽△FBAでBFを求めます。次に△FBAで三平方の定理でAFを求めます。また△ABCで三平方の定理でACの長さを求めます。次に折り曲げた図形の性質からAE=ACで、BF=AE-AFよりEFを求めます。最後に△FBA∽△FDEからDFを求めることができます。(2)はDFを半径にして、AFを高さにした円錐とEFを高さにした円錐を合わせればよいだけです。

 

 大問3の関数の利用ができなく、証明もできないと40点が限界で、証明ができれば50点はとれた思います。 大問3の関数の利用ができれば60点以上とれたと思います。今年は80点以上とれた方も結構いると思います。

 

◎社会

 今年の社会は標準的な問題だったと思います。ただ、例年日本地理で出題されていた都道府県名を書く問題が、世界地理で国名を書く問題になったところが、これまでの入試問題と変わったところです。今までも、誰でも知っているような国名を書く問題はありましたが、今年のガーナはちょっとこれまでにない傾向です。これから先、教科書にでている国名も覚えておく必要があるようです。ただ、ガーナと公民で出題されたフェアトレードは、英語の教科書でニューホライズンを使っている方は、中3で習った内容なので、できた方が多かったとは思います。

  

◎理科

 今年の理科も標準的な問題だったと思います。化学系が難しめで、物理系も運動と電気なので、あまりできなかったかもしれません。ちなみに生物系の問題にあった、なぜ、タンポポが合弁花なのか、知っていますか。図2のタンポポの花弁をよく見てください。5枚花弁がくっついて描かれているのがわかると思います。

 

◎英語

 今年の英語は、注釈がなく教科書にない単語がでてきたり、なじみにない単語が複数あって、推測しながら読まなくてはならなかったので、難しかったと思います。特に大問2が難しく、大問3は解答するのに時間がかかり、大問4は比較的易しかったのですが、やる時間がなくて、全体として、点数が崩壊した人が結構いたと思います。この10年で最も点数が悪かったH24年より、出来が悪かったかもしれません。

 尚、教科書はニューホライズンして書いてあります。もしかすると別の教科書には書いてあったかもしれません。

 

 大問2の1が変わりました。例年、教科書の太文字の単語が正答になる問題でしたが、(2)のboth(両方の)以外のnose(鼻)とcentury(世紀)は教科書の本文になく、太文字になっていない単語です。1はできた人はあまりいないと思います。2の(2)が例年より会話文が長くなっており、さらにしっかり読めないと選べましれません。3の並び替えの問題は例年より易しかったように思われますが、大問2全体ではできなかった方が多いと思います。

 大問3は1の健とジェーンの1週間の運動やスポーツをやった時間を求める問題で、簡単な計算問題になっています。ちなみに健は火曜日から金曜日まで放課後2時間サッカーを練習しているので、2時間×4日間×60=480分となり、Zとなります。ジェーンは週末(土曜日と日曜日)だけ午前10時から正午までテニスをしているので、2時間×2日×60=240分になり、Yとなります。時間を計算するだけですが、できなかった人が多いのではないかと思います。2は下から5行目の後半からの一文を訳すだげの問題ですが、graduate(卒業する)の意味が分からなかったと思います。教科書にない単語で、文章から推測して訳す必要がありました。ただ、「卒業する」を使わなくても、だいたいの意味があっていれば、点数はもらえるはずです。3は例年に比べて易しかったと思いますが、全体としては、時間がかかる問題で、大問4、5をする時間があまりなかったかもしれません。

 大問4は例年に比べて、なじみのない単語もありますが、比較的読みやすい文だと思います。3と7のIIの英作文の問題が難しかったと思います。7のIIは落語のおちを理解できたかが問われた問題です。ちなみにhadは「持っていた」と「食べた」の2つの意味があるので、storekeeper(店主)は彼女の息子が食べたと言いたかったとなります。じっくり読めた人はできたと思いますが、大問2、3に時間がかかった人は、できなかったと思います。

 大問5の自由英作文の問題はここ数年同様、英文を読んで答える問題ですので、設問の英文の意味がある程度わからないと完答は難しいです。特に今年は設問の日本語に何も書いていないので、英文が読めなければ何を書いてよいかわからなかったと思います。英文が読めた人は書きやすい内容だったと思います。今年は時間がなくてかけなかった人が多かったと思います。

 

 大問4に時間をかけた人は、そこそこ点数がとれたと思いますが、大問2、3に時間をとられて、大問4に時間をかけられなかった人は、かなり点数を落とした可能性があります。時間配分ミスで失敗した人は結構いたと思いますので、英語ができなかったとしても、あまり気にしなくてもよいと思います。